被控訴人は信用組合。控訴人は、「妻の不始末であるから妻に責任をとらせる」などと述べたことが認められたが、信用組合はそれに対して念書をとるなどしかるべき手立てをとらなかったこと等から無権代理人人の追認が否定された事案
「控訴人吉原は、昭和五七年六月二二日ころ及び八月一七日ころ控訴人組合に出頭した席上でも、控訴人組合に対し本件連帯保証契約は妻が勝手にしたものであると主張し、妻の不始末であるから妻に責任をとらせるなどと述べたことが認められ、控訴人組合からすれば、控訴人吉原の発言を無権代理行為の追認と受け取ったとしても、控訴人吉原に追認による契約責任を負わせるつもりならば、その旨を十分たしかめて改めて念書をとるなど、それなりの確実な手だてを取って置いてしかるべきであるが、そのようなことがなされた形跡はないのみならず、本件貸付残債務額と控訴人吉原の支払能力に照らしても、控訴人吉原において、しかく簡単に債務負担行為を認める状況にはなかったものというべく、以上の証拠関係に照らし、前記久住の証言は措信できず、他に控訴人組合主張の追認の事実を認めるに足りる証拠はない。
よって、控訴人組合の右主張は認めることができない。」