保証を巡るトラブル等

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Q 長男が無断で契約書の連帯保証人欄に私の署名・押印をしてしまいました。このような場合も私は連帯保証人として責任を負うのでしょうか。

A 主債務者等が、無断で保証人欄に第三者(Aとします)の名前を書き、印鑑を押した場合は、偽造になります。主債務者と連帯保証人が連署する形式の契約書が一般的ですが、その場合、保証部分が偽造となります。偽造ですので、勝手に名前を書かれたAは保証人としての責任を負うことはないのが原則です。民法には「偽造」の規定はありませんが、当事者同士の意思表示の合致で契約は成立するところ、偽造の契約書は意思表示の合致の証拠にはならないからです。
  この場合、主債務者は債権者に、Aさんから保証の了解を得たと話しているでしょうから、主債務者はAの無権代理人となります。無権代理には、追認という制度があるので、Aが追認をした場合、例えば事後的に債権者から確認を求められたところ、保証したことを認めてしまった場合、追認により、有効に保証契約が成立したことになります。さらに、無権代理には表見代理という制度があります。簡単にいうと、この例であれば、Aが主債務者に白紙委任状を渡していたり、実印と印鑑証明書を交付していた場合、Aは債権者からの請求を拒めない可能性があります。ただし、実印と印鑑証明書を「交付」していた場合であり、「盗用」(家族であれば無断で実印を持ち出すことも可能)した場合は表見代理とはならないのでご安心ください。また、仮に何らかの事情で実印と印鑑証明書を「交付」していたとしても金融機関には本人の意思確認が求められるので、表見代理責任を負う可能性は低いと考えられます。

Q 保証契約をしてから20年以上も何も請求されてなかったのに、突然、貸主から保証履行請求されました。時効は援用できないのでしょうか。

A 民法457条1項で「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。」と規定されています。
  主たる債務の時効期間は、その債権の種類により1年ないし10年でまちまちですが、金融会社からお金を借りた場合は5年ですので、以下、それを例に説明します。
  時効には中断という制度があります。中断すると、時効期間は、そこからカウントし直しになります。中断事由には、①請求、②差押え・仮差押え・仮処分、③承認、があります。ここでいう①請求とは、裁判上の請求等をいいます。裁判外で債権者が債務者に「払え」と言っても時効は中断しません(正確には催告といって6ヶ月以内に裁判手続等をとると中断します)。時効の中断事由で実務上圧倒的に多いのは③承認です。
  債権の一部弁済も③承認になります。したがって、長期で借り入れた場合、返済する度に時効が中断します。そして、主債務者が中断した場合、民法457条1項により、保証人に対してもその効力が及びます。したがって、保証人が時効による消滅を主張するためには、まず、主たる債務者の返済状況を確認する必要があります。その結果、最後の返済から5年以上経過していた場合、他の中断事由が生じている可能性はありますが、まずは、債権者に対し、時効なので支払わないと主張してみましょう(時効の援用といいます。)。もし、他の中断事由があれば、債権者がそれを主張してくるので、それに応じて対応を考えれば良いと思います。

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