電話機リース料支払債務につき、リース会社(メガバンクの関連会社)が、電話機のリースを受けた自営業者の妻に保証履行請求したところ、本件でリース会社が民法446条2項所定の書面として主張するものは契約書のみであるところ、同契約書の連帯保証人欄の署名・押印が、そこに記載されている者(妻)が署名・押印したものではないので、民法446条2項の書面性の要件をみたさないと判示された。なお、リース会社の従業員(保証意思確認担当)が作成した電話記録に「保証意思」「YES」と記載されている。一見、あまりに尤もな結論であるが、実務的には、保証人の代理人や使者による署名が、どのような場合に、書面性の要件をみたすのかが課題である。
「保証契約は,書面でしなければその効力を生じないとされているところ(民法446条2項),同項の趣旨は,保証契約が無償で情義に基づいて行われることが多いことや,保証人において自己の責任を十分に認識していない場合が少なくないことなどから,保証を慎重にさせるにある。同項のこの趣旨及び文言によれば,同項は,保証契約を成立させる意思表示のうち保証人になろうとする者がする保証契約申込み又は承諾の意思表示を慎重かつ確実にさせることを主眼とするものということができるから,保証人となろうとする者が債権者に対する保証契約申込み又は承諾の意思表示を書面でしなければその効力を生じないとするものであり,保証人となろうとする者が保証契約書の作成に主体的に関与した場合その他その者が保証債務の内容を了知した上で債権者に対して書面で明確に保証意思を表示した場合に限り,その効力を生ずることとするものである。したがって,保証人となろうとする者がする保証契約の申込み又は承諾の意思表示は,口頭で行ってもその効力を生じず,保証債務の内容が明確に記載された保証契約書又はその申込み若しくは承諾の意思表示が記載された書面にその者が署名し若しくは記名して押印し,又はその内容を了知した上で他の者に指示ないし依頼して署名ないし記名押印の代行をさせることにより,書面を作成した場合,その他保証人となろうとする者が保証債務の内容を了知した上で債権者に対して書面で上記と同視し得る程度に明確に保証意思を表示したと認められる場合に限り,その効力を生ずるものと解するのが相当である。」