第1審被告から不在中に事業上必要なときは被告の実印を使用することを一任されていた妻が、権限を越えて親族の経営する会社の第1審原告(銀行)に対する債務について包括根保証をしたもの。
「原判決の趣旨は、取引約定書(甲一号証)には上告銀行が融通する金額の限度や保証期限の記載がなく、従つて意外の巨額について長期にわたつて被上告人が保証の責を負わなければならないことになる虞れがないわけではないのであるから、かかる場合には保証人となる者に一応照会するなどして真実保証を承諾したかどうかを確めるのが一般取引通念上相当であるに拘らず上告銀行はこれを確めることを全くしなかつたのであり、ただ漫然と被上告人が保証を承諾したものと錯誤したものであるから、このような場合においては民法110条の適用がないものと解するを相当とする。」